VERSECオーナー様の声 No.10:舞鶴工業高等専門学校様
今回お話を伺った、舞鶴工業高等専門学校(京都府舞鶴市)
教育研究支援センター 第1部門
桝田様
[インタビュー] 2024年10月
[ご導入] 2023年3月(商社:株式会社宏栄山本様)
御校の事業内容について教えてください。
舞鶴工業高等専門学校は、全国に51ある国立の高等専門学校の一つです。創立から50有余年に渡り近畿地方北部で工学を勉強したい学生たちの受け口として実践的・創造的技術者を育成しています。クラブ活動などの学生の自主的な活動のサポートも積極的に行っております。安全教育を受けると、放課後や週末、部活動にて工作室の機械を学生たちが自由に使うことができることも特徴のひとつで、機械操作のサポートには技術職員が対応いたします。
ご担当部署の業務内容や特徴について教えてください。
私は「教育研究支援センター」という組織に所属しており、技術職員という立場となります。本校では、各学科担当の職員がおり、私は、機械系技術職員として、主に機械工学科および電子制御工学科の機械加工実習を担当し学生の教育や研究活動を支援しています。また、機械工学実験の補助や、先生や生徒から依頼があった際は、試作部品加工を行うこともあります。
汎用旋盤導入前に、御校内で解決したかった具体的な課題や問題点は何でしたか?
従来型の6段変速の汎用旋盤では設定できる回転数が限られているため、最適な切削速度になるよう回転数を細かく設定できないことが多いという課題がありました。また、超硬工具やスローアウェイ工具の性能を活かせる高回転域まで主軸回転数を上げたい、または径が小さい材料(主にアルミが多い)を削るために主軸回転数を上げたいという要望があるのですが、主軸の最高回転数が1500rpmのため、もっと主軸回転数がほしいという課題がありました。
その課題の解決策としてVERSEC-neoをご選定いただいた決め手は何ですか?
最大の決め手は、主軸が無段変速で、3000rpmまで回転できることです。JIMTOF2012(日本国際工作機械見本市)ではじめてVERSECのモックアップ展示を目にして「これが製品化されたなら使ってみたい!」と直感的に思いました。
学生には、超硬工具を使うトレンドや効率的に加工作業を行うことを体験させたいという想いがあります。例えば、ハイス工具では切り込みが小さく、送りも遅いのに対して、超硬工具では切り込みを増やして、主軸も送りも早くして送ることでいいものを早く作れるという体験です。また、主軸の無段変速を活用して、突っ切り加工時に内径が小さくなるのに合わせて主軸の回転速度を上げていくことでバイトがすいすい入っていくことで、切れ味も良くて、作業も早くできるという特徴も体験できます。
試作(1回限りのワンオフ加工)に関しては、NC旋盤にて対応するよりも、汎用旋盤の方が経費や手間も抑えられていいという場面も多々あります。
これらの背景から、従来型の旋盤14台に加えて、新たにVERSEC-neo1台を追加いたしました。かっこいいデザインということもあり、通路寄りに配置し、オープンキャンパスではパネルを用意して目立つように工夫しています。
VERSEC-neoご導入後、実際にお使いいただいてのご感想はいかがでしたか?
失礼ながらそれまで存じていないメーカーだったので、他の導入実績がある旋盤メーカーに対して安定して使えるのか一抹の不安があったが、使ってみて何ら遜色がない性能・操作感だったので安心しました。
性能としてはやはり低速から3000rpmまで滑らかに回る主軸はいいですね。振動もなく、きれいに仕上げることができ、精度も出るため大変満足しています。直径や材質に合わせて最適な回転数を設定でき、突切り加工では切り込みが進むに合わせて回転数を主軸が回ったまま変えられるので、加工効率が良く、振動が小さく仕上がりも良いです。超硬やサーメットなどの工具を用いた際も同様にきれいな仕上がりです。
従来型の旋盤よりもガイド面の高さが高いので、長時間の加工でも前屈みになる度合いが抑えられ・腰への負担が少ないですね。(身長171cmの場合。160cm以下だと踏み台を使用しています。)また、オプションで付けた”芯押し台目盛管”が、座ぐり穴加工で微調整するのにとても便利です。
また、機械剛性や動力がしっかりしており、”ちょっときついかな?”と思ってもしっかり削ってくれます。例えば、34mmスローアウェイドリルを周速120m/minで鋼材に穴開け加工しましたが、余裕でドリルが入っていったのには大変満足しています。
また、安全装備がしっかりしており、チャックハンドルとチャックカバーの二重インターロックによってチャックにハンドルを挿したまま回転させる事故を効果的に予防出来るため、安心して学生に使用してもらうことができます。
今後の展望についてお伺いします。VERSECに期待している点はどこですか?
学生の中には、興味を持って活用してくれている事例がいくつかあります。例えば、5年生の卒業研究で、トランペットのマウスピースを4つの材料(純銅、アルミ、ステンレス、ナイロン)で作成してみて違いを考察するため、仕上げ前の工程でVERSECを活用して加工を行なったり、技能検定3級の練習用として活用した事例がありました。
触ってくれた学生はVERSECの機能的な良さを実感してくれている一方で、従来型の旋盤よりもサイズが大きく、主軸も高速まで回るため、怖いという印象を持つ学生も少なくありません。今後は、3、4年生にて実施している「ものづくり実習」にてVERSECを触ってもらう機会を増やし、よさを実感できるような取り組みを進めていきたいと思っています。また、工業高校などに入っている従来型の旋盤はVERSECよりもワンサイズ小さいので、同じくらいコンパクトなサイズがあると、より教育機関向けの既存機種更新候補になってくるのではないかとも感じました。
現在クーラント(切削油)供給装置については自作で対応しています。クーラントを活用することで狙い通りに加工ができる事例もあり嬉しいのですが、今後、メーカーOPとして発売していただくことを期待しています。また、VERSECは主軸の動力も十分あるので、最新の工具なども積極的にトライしてみたいと考えています。