自社での製造に限界を感じたり、新規事業をスピーディーに立ち上げたいと思ったとき、多くの企業が考えるのが 「外部への製造委託」 です。
「自社の人員と設備だけでは生産が間に合わない…」
「外注したいけど、どんな方法があるの?」
「OEMやODMって聞いたことはあるけど、どう違うの?」
など、様々な悩み事が立ちはだかります。
本記事は「外部への製造委託」を考えた時の疑問の中から、「OEMとODMの違い」について詳しく解説するとともに、それぞれの「メリット・デメリット」 や 「向いている企業の特徴」 を整理し、「製造委託を成功させるポイント」について詳しく解説していきます。
OEMとODMの違いについて
そもそも、「OEM」と「ODM」とはそもそもどんなことを指すのでしょうか?
OEMおよびODMについて、ジェトロ(日本貿易振興機構)記載の内容は以下の通りです。
(出典:「ジェトロ」https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-011247.html )
このように、OEMは「設計は依頼元、製造を委託先が担当」する形が基本ですが、ODMは「設計から製造まですべてを委託先が請け負う」方式と区別されます。
「外部への製造委託」という観点からすると、両者とも同じと言えます。
では、具体的にどのような違いがあるのか?製造委託方式を選ぶ前に、まずは OEMとODMの定義と違い を整理しておきましょう。
OEMとは?
OEM(Original Equipment Manufacturing)とは「相手先ブランド製造」のことで、「依頼元の設計をもとに、委託先が製造する方式」です。
つまり、設計や製品仕様については「依頼元」にノウハウがあり、委託先は製造工程を担当します。
設計ノウハウは自社に残しつつ、製造を外部に委託することによって、コストを抑えたり、生産の効率が上がるなど、自社の生産にとって大きな助けとなります。
その一方で、品質の管理などの観点では気をつけるべきポイントもある為、OEMのパートナー選びも重要となります。
OEMのパートナー選びについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。
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ODMとは?
ODM(Original Design Manufacturing)とは「設計から製造まで一括で委託できる方式」です。
依頼元は基本的な要件を伝えるだけで、設計から製造までの全工程を外部委託先が担当し、製品製造に関する専門知識・ノウハウは「委託先」に蓄積する仕組みです。
依頼元は、アイデアを委託先に伝えることによって「設計から製造まで一貫体制」で製作を依頼でき、なおかつ、自社では製品アイデアや自社ブランド構築や製品の販売に注力することができます。

ここまで、「OEMとODMの違いについて」確認してきましたが、重要なのは、どちらが優れているかではありません。
「自社が必要としていることは何なのか」
「自社はどの部分を助けて欲しいのか」
重要なのは「自社に合っているのはどちらなのか」をしっかり認識することにあります。
次に、「OEM」「ODM」のメリットや依頼する際の注意点を整理すると共に、「どんな会社に合っているのか」を確認していきましょう。
ODMに合う会社とは?
まずは、ODMのメリットについて整理していきましょう。
ODMのメリットとしては以下のことがあげられます。
すでに設計や製造のノウハウがある会社に任せることによって、製品完成までスムーズに運びますね。
また、設計・製造を一貫して任せている為、製作時の設計担当と製造担当の認識のズレが起きにくく、トラブルになりにくいですね。
では、「ODMに合う会社」とは具体的どのような会社なのでしょうか?
スタートアップ企業や新規事業を検討している企業
人材や資金が限られている中でも、スピーディーに製品を市場投入したい場合に適しています。
「とにかく早く形にしたい!」という方に最適です。
設計部門を持たない企業
自社内に設計・開発のノウハウやリソースがない企業にとって、ODMは有効な選択肢となります。
「設計は専門家に任せたい」と考える方におすすめです。
市場動向の急速な変化に対応したい企業
トレンド変化の激しい市場では製品寿命が短いため、ODMを活用することで素早く新製品を投入できます。
「トレンド製品を逃したくない」「次々と新製品を出したい」と考えている企業に合ったの選択肢です。
ODMは、 「早く形にしたい」 「専門家に丸ごと任せたい」 そんな企業にとって 理想的な選択肢 と言えますね。
一方で、ODMにはメリットだけでなく、注意点もあります。
メリットだけで判断するのではなく、注意点をを正しく理解した上で判断することが大切です。
では、ODMを検討する際の注意点について確認していきましょう。
他社と似た製品になりやすい(独自性を出しにくい)
長期的にはコスト高になる可能性(大量生産時にOEMより割高になる場合がある)
サプライヤー依存度が高くなる(設計ノウハウが委託先側にある)
ODMには「速やかな市場参入」「専門家による設計品質」「自社の得意分野に人材や資金を集中できる」といった大きなメリットがあります。
もちろん製品の独自性や長期的なコスト、サプライヤー関係といった点は考慮すべきですが、自社の状況や戦略に合わせて選択すれば、ODMは「事業成長を加速させる強力な選択肢」となるでしょう。
OEMに合う会社とは?
次に、OEMのメリットについて整理していきましょう。
OEMのメリットとしては以下のことがあげられます。
特に、細かい品質や性能へのこだわりが重要な製品では、この点がOEMの大きな利点となっています。
自社の設計ノウハウを活かしつつ、人手や技術が必要な製造部分を外部に任せることによって、必要としている部分をピンポイントでカバーできると言えますね。

では、「OEMに合う会社」とは具体的どのような会社なのでしょうか?
自社の設計技術が製品の価値となる企業
自社の設計技術やノウハウが製品の価値の中核を担っている企業は、OEMによってそれらを活かした製品づくりが可能となります。
「うちの設計力が強み」という企業にぴったりです。
品質や信頼性が特に重要視される製品を扱う企業
医療機器や工業機械など、安全性や耐久性が特に重視される製品では、設計段階からの品質管理が不可欠です。
「品質に妥協したくない」企業には最適な選択と言えるでしょう。
長期的な製品展開と製造パートナーシップを重視する企業
製品の継続的な改良や長期的なコスト削減を計画しながら、製造技術に特化したパートナーと互いの強みを活かした協業関係を築きたい企業に適しています。
「この製品を長く育てていきたい」「製造のプロと一緒に成長したい」という思いを持つ企業には理想的な選択肢となります。
OEMは、「品質に妥協したくない」「製品を長く育てていきたい」そんな企業にとって理想的な選択肢と言えるでしょう。
OEMについても、メリットだけでなく、注意点もあります。
OEMを検討する際の注意点についても確認していきましょう。
設計リソースを自社で抱える必要あり(設計部門や技術者の確保が必要)
開発期間がODMより長い場合がある(ゼロからの設計のため時間がかかる)
委託先との密なコミュニケーションが必須(設計意図を正確に伝える必要がある)
OEMには「独自性の高い製品開発」「品質の細部までのこだわり」「技術資産の蓄積」といった大きなメリットがあります。
もちろん設計のための人材確保や初期費用、開発に時間がかかるといった課題もありますが、自社の強みや将来ビジョンに合わせて選べば、OEMは「長く愛される製品を生み出す頼もしいパートナー」になってくれるでしょう。
当社が「OEM」に特化している理由
当社がOEMに特化している理由は、単に製造を担うだけでなく、加工から組立・検査、出荷までを一貫して対応できる体制を長年かけて築いてきたからです。
この体制により、部品ごとの精密加工はもちろん、複雑な組立工程や厳格な検査プロセスまでを一つの流れで管理し、品質と納期を両立させることが可能になりました。

以下では、当社がOEM製造で培ってきた 3つの強み と実際の お客様事例 をご紹介します。
一貫生産体制による高品質なものづくりと納期管理
OEMにおいて製造委託先が最も重視されるのは、品質と納期を確実に守ることです。
当社では社内で複数工程を一貫管理することで、品質とスピードの両立が可能となります。
さらに「製品の製造履歴を追跡できる仕組み」や「いつ・どこで・誰が製造したかを記録・管理するトレーサビリティ」に加え、厳格な品質管理体制を確立しています。
この一貫体制こそが、高品質かつ安定したOEM提供を可能にする基盤となっています。
現場対応力と技術力
長年の製造経験を活かして、図面だけでは伝わらないお客様の意図をくみ取り、最も適した製造方法をご提案します。
例えば「この仕様なら現場で扱いやすいか」「納品後の使用環境に適しているか」といった、図面には書かれていない“見えない期待”まで読み取り、製造上のリスクを正直に提示しながら解決策を共に設計していきます。
また、一度に多くの製品を安定して作り続けられるよう、量産時の課題も先回りして解決する工程づくりが得意です。
信頼のパートナーシップ|OEM成功事例(コマツNTC様・スター精密様)
信頼関係は一朝一夕に築けるものではありません。私たちは「できる・できない」を正直にお伝えし、お客様と共に最適な解決策を見つけることで、単なる製造業者ではなく「頼れるパートナー」として評価いただいています。
数多くの企業様から継続的にご依頼をいただいておりますが、特に以下の事例は当社のOEMパートナーとしての強みを示すものです。
スター精密様:小ロット・高難度案件に対し「困ったらサイダ・UMSに」と信頼いただく関係を構築。
コマツNTC様:ワイヤーソーの急な増産対応で工程の見直しを共に行い、大幅増産を実現。サプライヤー向けの賞も受賞。
\ さらに詳しい「お客様の声」の 紹介ページ は こちら /
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このようなOEM製造パートナーとしての強みは、これまで多くのお客様に評価していただいてきました。
当社の強みが最も発揮されるのは、
単なる製造請負ではなく、お客様の設計意図を理解し、ものづくりの専門家として設計の良さを形にするパートナーシップ
にあります。
このように、私たちは単なる請負先ではなく、お客様と共に製品をつくり上げるパートナーとして伴走することを使命としています。
「任せてよかった」と言っていただけるのは、この一貫体制と現場対応力の両輪があるからこそなのです。
製造委託で失敗しないために

OEMとODMを比較した結果、「自社の設計力を活かしつつ、製造は信頼できるパートナーに任せたい」と考えられたなら、OEMは非常に効果的な選択肢です。
しかし、本記事でも述べたように、OEM委託 にも注意すべき点があります。
製造委託では、どの方式を選んでも「期待通りの製品を効率よく生産する」ための工夫が必要です。
特にOEM方式では
「図面だけでは伝わらない意図をどう伝えるのか」
「委託先と認識を正確に合わせるにはどうすればいいのか」
といった課題と向き合うこととなります。
こうした課題を解決するために、私たちは実際の成功事例をもとに、
「OEM委託を成功させるための4つの視点」
をホワイトペーパーにまとめました。
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「図面だけでは伝わらない期待がある」 「委託先と認識がずれてしまう」
これは、多くの企業が直面している共通の課題です。
どのようにこの課題を乗り越えて「OEM(製造委託)」を成功させていくのか。
その解決の一助となれば幸いです。
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書いた人:平野 遼香
自社商品「Oリング整列供給ユニット」営業窓口担当。製造業について日々勉強中。
ユーザーのみなさんが “知りたいこと” をお伝えできるよう、学んだ内容を情報発信していきます!
最近気になっているのは、タコス職人(タケロ!)。