概要

フロー型マイクロ波合成装置は、連続フロー化学合成用のマイクロ波装置です。本装置の特徴は、フロー流路の均一な電界と急速なマイクロ波加熱です。これまでバッチ型のマイクロ波装置で困難であったマイクロ波化学合成のスケールアップに貢献します。

主な特徴

1.フロー専用
2.フロー流路の均一な電界と急速なマイクロ波加熱
3.高温、高圧(最大230℃ & 2.5 MPa)
4.温度(熱電対, 放射温度計)、圧力センサーに連動した安全機構(オプション使用時)
5.固体触媒などの不均一系に対応

【フロー型マイクロ波合成装置の特徴について研究者がわかりやすく解説】

主な仕様

機種名 FMR-100S FMR-250S
外観 フロー合成用のマイクロ波装置※制御ソフトインストールPC:別売 フロー合成用のマイクロ波装置※制御ソフトインストールPC:別売
マイクロ波発振器出力 最大100 W 最大250 W
温度測定 熱電対 or 放射温度計 熱電対 or 放射温度計
溶液温度(熱電対使用時) 最高230℃ (装置停止300℃) 最高230℃ (装置停止300℃)
溶液圧力(圧力センサー使用時) 最大2.5 MPa (装置停止3.0 MPa) 最大2.5 MPa (装置停止3.0 MPa)
キャビティ長 100 mm (200 mmキャビティ装着可) 200 mm (100 mmキャビティ装着可, 出力制限)
キャビティ交換
ソフト 電力制御、温度制御、電力グラジェント 電力制御、温度制御、電力グラジェント
ログ機能 温度, 圧力(圧力センサー使用時), 入射電力, 反射電力, 発振周波数 温度, 圧力(圧力センサー使用時), 入射電力, 反射電力, 発振周波数
共振状態評価機能 Peak Finder
制御ユニットサイズ
発振器照射ユニットサイズ
350Wx465Dx345H(mm) / 20(kg)
220Wx420Dx465H(mm) / 19(kg)
350Wx465Dx345H(mm) / 20(kg)
290Wx495Dx533H(mm) / 20(kg)
オプション 圧力センサー, 放射温度計, ポンプ, 背圧弁, 交換キャビティ, カスタム交換キャビティ, 架台 圧力センサー, 放射温度計, ポンプ, 背圧弁, 交換キャビティ, カスタム交換キャビティ, 架台
アクセサリー スパイラル反応管(1, 2, 3 mL), 触媒用反応管 スパイラル反応管(4, 6 mL, *10 mL)*専用キャビティ, 触媒用反応管

システム構成例

FMRシリーズは、オプションと組合せて独立した連続フローシステムとしても運用できます。また、オプションはFMRシリーズ本体と連動して機能します。例えば、圧力センサーは、PC画面に圧力トレンドグラフを表示でき、圧力データも記録可能だけでなく、圧力上限設定によるマイクロ波照射停止機構と連動します。

フロー合成用のマイクロ波システム例
図1 システム構成例(FMR-250S, 圧力センサー, 背圧弁, ポンプ2台, 架台)

(A) ソフトインストールPC
(B) 圧力センサー
(C) 背圧弁
(D) ポンプ(左ポンプ:ヘッド材質PEEK, 右ポンプ:ヘッド材質SUS)
(E) 架台

アクセサリー

反応管は、FMR-100用、FMR-250用の2系統をラインアップしています。それぞれ、装置仕様(最大230℃、最大2.5 MPa)に対応したな固体触媒用、スパイラル型反応管と、大気圧下の使用を前提とした反応管があります。また、石英製も製作可能です。


図2 反応管ラインアップ(フィッティング:No.10-32UNF, OD: 1/16″)


図3 T継手(熱電対装着状態)

表 反応管および消耗品(PDF:233KB)

サービス

フロー型マイクロ波装置は、化学合成のご経験があれば、フロー合成およびマイクロ波合成を未経験の方でもお使い頂けます。初めての方にお使いいただけるよう無料相談を含め、下記のサービスでお客様をサポートいたします。

1. 無料 試験相談

ご検討中の反応がフロー型マイクロ波装置は対応可能か、問い合わせフォームよりお気軽にお問い合わせください。無料で対応させて頂きます。Webオンライン打ち合わせも可能です。

2. モデルラボ 無料試験

ラボでは、お客様に直接お越しいただき、装置を”無料”(2回目以降有料)でお試し頂けます。
・使用料:無料
・使用条件:試液持参、廃液お持ち帰り
・施設名:静岡県医療健康産業研究センター(ファルマバレーセンター)201号

モデルラボ

3. 装置貸出(訪問 or 装置配達+お客様設置+Webオンライン説明)

・貸出装置:フロー型マイクロ波合成装置FMR-100、ポンプユニット、反応容器、配管備品
・貸出期間:1週間~
・貸出費用:有料(お問い合わせください)

※ご希望の条件に合わせてお見積もり致します。お気軽にお問い合わせください。

4. 受託試験先、共同研究先ご紹介

弊社装置をお使いの受託合成試験企業様および大学様をご紹介いたします。

用語

フロー専用:

フロー専用とは、本装置は連続流れ式用のマイクロ波装置であることを意味します(フラスコやバイアル瓶等を用いるバッチ式に対応した装置ではありません)。

シングルモード:

マイクロ波装置は、単一の電磁界モードをもつシングルモードと、複数の電磁界モードが共存するマルチモード(代表例:電子レンジ)に大別されます。さらに、シングルモードも2種類に大別され、伝送路型と共振器型があります。サイダ・FDSのフロー型マイクロ波装置は、フロー流路を均一かつ高い電力密度を与えるために、共振器型のシングルモードを採用しています。

半導体式:

マイクロ波電源は、電子管(マグネトロンなど)と半導体式に分類されます。マグネトロンを使う大きなメリットは、安価で出力が大きいことです。デメリットは発振周波数の変動要因が多いこと、周波数制御が困難であることが挙げられます。また、特徴として、発振周波数が中心周波数以外にも複数含まれます。一方、半導体式マイクロ波電源の特徴は、単一の周波数を発振可能であること、発振周波数を制御できることが挙げられます。本製品は半導体式の2つの特長を活かした技術によって、マグネトロンでは困難なフロー流路の均一かつ急速な加熱を実現しています。

100 W / 250 W:

家庭用電子レンジの出力は700 Wや1000 W、コンビニエンスストアの電子レンジは1500 Wです。一方、本装置の最大出力は100 W, 250Wです。しかし、マグネトロンから発振される複数の周波数の出力合計が電源出力であり、半導体式は全ての出力が単一周波数と一致するため、マグネトロンと半導体式の単一周波数を比較した場合の出力の違いはほぼないと言えます。本装置は、(1)シングルモード共振器、(2)半導体式電源、(3)オートチューニング制御、(4)スパイラル管で構成されるシステムにより出力100 W、250Wでフロー流路の急速加熱を実現しています。

オートチューニング:

本装置は、半導体式の特徴である“単一の周波数”と“制御性”に自動化を組み合わせたオートチューニング機構を搭載しています。共振器内の材料は温度変化により、吸収可能なマイクロ波周波数が変化します。しかし、本機能により、共振器内のフロー流路へ最適な周波数を自動で維持し、最適なマイクロ波を材料に印加し続けます。

スパイラル管:

マイクロ波帯で利用可能な周波数は国際的に定められています(ISMバンド)。シングルモード共振器の共振周波数は、材料の誘電率や体積の影響を受けます。ISMバンド内で多くの材料へ対応するために、共振器にスパイラル管を採用(特許)。装置のキャビティ交換およびキャビティ専用設計を含め周波数制限へ柔軟に対応します。また、石英製のスパイラル管の特注も可能です。

固体触媒用反応管:

連続フロー合成方法のメリットの一つは、固体触媒を流路内に固定化できることです。マイクロ波照射下での固体触媒を用いた連続フロー合成のために、専用反応管をご用意しました。また、キャビティ交換によって利用可能な固体触媒種、体積を改善できます。

キャビティ交換可:

キャビティとは、マイクロ波を閉じ込める金属箱です。キャビティ交換により、多くの材料種とスケールアップに貢献します。交換式キャビティとスパイラル管、後述Peak Finderを併せて使用することで、通常より幅広い材料とスケール、特殊な条件で共振を可能にします。また、交換式キャビティは数種類ラインアップされており、さらにユーザー様の条件に最適なキャビティを設計可能です(カスタム交換キャビティ)。キャビティの最適化により、反応に対する省エネルギー化を追求できます。

温度安全機構:

設定温度による停止条件を設定可能です(通常250℃、熱電対)。ソフトと装置を停止させます。

圧力安全機構:

圧力センサー使用時、3 MPaに到達によりソフトと装置を停止させます。

非常停止ボタンx2:

制御ユニット本体正面の停止ボタンに加え、有線の非常停止ボタンが付属します。

自動データロギング:

マイクロ波照射開始により、各種設定条件に加え、温度、入射電力、反射電力、発振周波数、圧力値(オプション圧力センサー使用時)が自動記録されます。

Peak Finder:

材料のマイクロ波吸収能をボタン一つで視覚化できる機能です。材料のマイクロ波特性が分かるだけでなく、共振条件探索をサポートします。また、反応や加熱条件を追求する場合、マイクロ波照射開始前と照射後のPeak Finderデータ比較により、温度変化による反応系のマイクロ波吸収能評価といった使い方もできます。市販装置ではブラックボックスであったマイクロ波加熱の指標をビジュアルで理解できるお勧めの機能です。