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人が育ち、人が伝える、唯一無二のものづくりの世界ー株式会社山崎製作所ー

私、望月の会社訪問記第6弾。
今回は静岡市清水区にある 「株式会社山崎製作所」を訪問してきました。

今回の訪問は、これまでとは少し違います。
私を含め、3社の広報担当の女性での合同訪問。
「ものづくり」「働き方」「人」「地域との関わり」——
いろいろな視点を持ったメンバーだからこそ、気づきの多い時間となりました。


50年以上続く板金加工のプロ集団、でもそれだけじゃない

株式会社山崎製作所は、1970年創業。
精密板金加工を専門とし、ステンレス・鉄・アルミなどの加工から
切断・曲げ・溶接・組立・塗装・表面処理まで、すべてを社内一貫対応できる企業です。

産業機械部品や精密機器部品はもちろん、
医療機器、美観品(看板など)まで幅広い製品を手掛けています。

そして特筆すべきは、自社ブランド
「三代目板金屋」 の存在。
板金技術を活かしたかんざしやヘアアクセサリー、インテリア製品は
多くのメディアに取り上げられ、今では会社を支える大きな柱となっています。

「板金加工会社」と聞いて想像するイメージを、良い意味で裏切られる。
そんな企業です。

「三代目板金屋」のかんざし(Draw Liner comb)

訪問のきっかけは、一人の女性社員の言葉でした

今回の訪問のきっかけは、
私が受講した 「女性のためのキャリアアップセミナー」

そこに登場した、山崎製作所の4年目女性社員・佐川さんのインタビューがとても印象的でした。

仕事への向き合い方、会社への想い、挑戦を楽しむ姿勢
「この会社、もっと知りたい」
「この人たちの働く現場を実際に見てみたい」
そう思い、今回の訪問が実現しました。


カフェのような社屋と、入った瞬間に心を掴まれる仕掛け

2022年に移転した新社屋は、
一見すると 工場とは思えないほど開放的でおしゃれ

入口には「三代目板金屋」の商品が並び、
ものづくりとデザインが自然につながっている空間です。

そして工場見学の最初に現れたのが——
ピンク色のドア。

「……あれ?どこかで見たことがある?」

そう、まるで ドラえもんの“どこでもドア”

これは山崎製作所のコーポレートカラーであるピンクを使い、
「心をオープンにすれば、ものづくりの可能性はどこまでも広がる」
という想いを込めたものだそうです。

ドア一つにも、社長の想いと“楽しさ”が詰まっている。
工場見学に来る子どもたちが大喜びする理由が、よくわかりました。


ピンクに統一された工場、そして圧倒的な技術力

工場内は、掲示物・床のライン・クレーンに至るまで
すべてがピンクで統一されています。

視覚的な統一感は、
「ここは山崎製作所だ」と一瞬で伝える力を持っていました。

加工工程は
材料 → 切断 → 抜き → 曲げ → 溶接 → 後処理
すべて社内対応。

特に印象的だったのが、
熟練職人による“全手計算・手作業”の曲げ工程

図面を読み、数値を手で計算し、微調整を繰り返す。
まさに職人技。

しかし、その技術を持つ人は限られており、
技術継承が課題になっているとのこと。
これは私たちの会社にとっても、まったく同じ課題です。


「集中がんばりタイム」——社員発案の、面白くて本質的な仕組み

工場内で気になった掲示物がありました。

それが 「集中がんばりタイム」

1日の中で、
「売上に直結する仕事だけに集中する時間」を午前と午後の2回(計2時間)設けているそうです。


日々の業務の中で発生しがちな、ちょっとした現場での打合せや声掛け、
確認のための会話や会議などをあえて入れず、
目の前の仕事そのものにだけ向き合う時間を意図的につくる取り組みです。

この時間帯は、
「今すぐ相談しなくてもいいこと」
「あとでまとめて共有できること」
を一旦脇に置き、
売上や成果に直結する作業に集中することを全員で意識します。

業務を止めないためのルールではなく、
仕事の質と集中力を高めるための工夫。
メリハリをつけて働くことで、
結果的に生産性が上がり、
仕事に向き合う気持ちにも余裕が生まれているように感じました。

驚いたのは、
これを社員さん自身が提案したということ。

会社がトップダウンで決めたのではなく、
現場から生まれた仕組み。

「自分たちの仕事を、もっと良くしたい」
そんな想いが自然に形になっていることに感動しました。


見せる工場、伝える工場、そして“人が主役”の工場

工場内には、一般の方が参加できるワークショップ用の専用スペースも設けられています。

これは、会社見学の機会が増え、一般のお客様が工場を訪れる頻度が高くなったことがきっかけだそうです。見学だけでなく、実際に板金に触れ、ものづくりの楽しさを体験してもらいたい——そんな想いから、板金技術を用いたワークショップを開催するようになり、その活動をより充実させるために専用の部屋を設けられました。

見るだけではなく、体験することで初めて感じられる驚きや面白さがあります。金属に触れ、加工し、自分の手で形にする。その体験を通して、「ものづくりって楽しい」と感じてもらうことを大切にされているのだと伝わってきました。

またこのスペースは、ワークショップのためだけの特別な空間ではありません。イベントがない日には、社員の方々が日常業務を行う作業スペースとして活用されており、多くの人が行き交う場になっているとのことでした。

“見せる工場”と“働く工場”を切り分けるのではなく、自然につなげている。その姿勢からも、山崎製作所様の「開かれたものづくり」への本気度を感じました。

工具の写真・名前・用途が丁寧に説明され、
初めての人でも“ものづくりが楽しい”と感じられる工夫が随所に。

また、社員表彰もとてもユニーク。

  • ありがとう部門
  • スマイル部門
  • チームワーク部門

半年に一度、社員全員の投票で決まるそうです。

さらに、全社員が何らかの委員会に所属
やりたいことに手を挙げ、推薦されても当たり前に受け入れる風土。

工場見学中も、
社員さんが私たちの存在に気づき、言葉を交わさなくても自然と手を止め、
曲げや溶接の技術を自ら進んで見せてくださいました。


若手が主役、年齢に縛られない組織づくり

社員数25名。
部長などの管理職は存在せず、リーダー制。


特に印象的だったのは、
リーダーを20代〜30代の比較的若い世代が担っているという点です。

若手が挑戦し、
年齢や職歴が上の社員がそれを支える。

誰にでもチャンスがあり、
手を挙げられる環境。

だからこそ、社外発信やイベントにも
全社員が前向きに関われているのだと感じました。


子育て世代にも優しい、驚きの制度

女性社員は全体の25%。
さらに驚いたのが、
子どもを連れての出勤が可能ということ。

突発的な子どもの体調不良や、
どうしても預け先が見つからないときに、
社員さんや社長さんがあたたかく受け入れてくださる。

それはルールとして決められているからではなく、
「困っているなら支え合おう」という
当たり前の思いやりが根づいているからこそできることだと感じました。

製造業はリモートワークが難しい業種です。
だからこそ、こうした風土があることは、
働く側にとって大きな安心につながるのだと思います。

これは企業の大きな強みだと感じました。

自社の挑戦と重なった「オープンファクトリー」という学び

今回の訪問を通して、特に強く共感したのが
オープンファクトリーへの向き合い方でした。

私たちの地域・焼津でも、
昨年から 「すげぇら焼津オープンファクトリー」 が開催されています。
弊社もこれまでに2回参加し、
今年は 2026年3月19日・20日 に開催予定です。

正直に言うと、最初は簡単な道のりではありませんでした。
これまで社外の方を工場に招く機会がほとんどなかったため、

  • なぜ見せる必要があるのか
  • 仕事の手が止まるのではないか
  • 本当に意味があるのか

社内で理解を得るまでに、かなりの時間と労力を要しました。

企画もすべて一から。
「何を見せるのか」「どう伝えるのか」
手探り状態でのスタートでした。

そんな中で伺った山崎製作所様のお話は、
まさに今の自分たちと重なる部分ばかりでした。

山崎製作所様も、最初から
「ものづくりを見せよう!」
と全員が前向きだったわけではありません。

「板金加工を見せて、何が面白いの?」
そんな声が社内にあったところからのスタート。

それでも、

  • ファクハクへの参加
  • 地域イベントの開催
  • 学生や一般の方との接点づくり

こうした経験を社員全員で積み重ねてきた結果
「自分たちの仕事は、こんなにも面白い」
「伝えることで、価値が広がる」
という意識が自然と根付いていったそうです。

ファクハク(静岡工場博覧会)とは?
静岡のものづくりの魅力を、
オープンファクトリーを通じて発信する取り組みです。

工場見学の内容も一つではなく、
来訪者に合わせて何パターンも用意されている点も印象的でした。

「見せるための工場」ではなく、
「一緒に楽しむ工場」。

これこそが、
学生の
「この会社、もっと知りたい!」
という気持ちにつながるのだと、改めて実感しました。

インターンは「知ってもらう努力」の積み重ね

インターンについても、率直なお話を伺いました。

HPで募集をしても、
すぐに応募が来たわけではない。

では、どうやって?

・ファクハクでの学校・学生との接点
・メディアでの継続的な露出
・学校への直接アプローチ
・そして社員や関係者を通じたリファラル採用

山崎製作所様では、
どれか一つに頼るのではなく、
できることを一つ一つ、愚直に積み重ねてきた結果
現在のインターン応募につながっているそうです。

印象的だったのは、
「インターン募集を出せば、学生が自然と集まる」
という考え方ではなかったこと。

まずは
知ってもらうこと
次に
興味を持ってもらうこと
そして
信頼してもらうこと

その順番を、時間をかけて丁寧に積み上げてきたからこそ、
学生側も
「この会社なら、行ってみたい」
「話を聞いてみたい」
と感じ、応募につながっているのだと思いました。

また、イベントやメディア露出、学校との接点は、
すぐに採用という“結果”が出なくても、
必ず“記憶”として学生の中に残るものです。

「どこかで見たことがある会社」
「あのイベントで楽しそうだった会社」
その小さな印象の積み重ねが、
数か月後、数年後に
インターンや採用という形で返ってくる。

山崎製作所様の取り組みから学んだのは、
採用活動とは
短期的な成果を追うものではなく、
企業の姿勢や価値観を伝え続ける“長期的な広報活動”

だということでした。

「すぐに結果が出ないからやめる」のではなく、
「未来の仲間に届くと信じて続ける」。

この姿勢こそが、
人が集まる会社をつくるのだと、強く感じました。


「誰が休んでも大丈夫」を目指した、部署での挑戦

佐川さんの言葉で、特に心に残ったのがこちら。

「誰が休んでも大丈夫。今じゃなくてもいい。」

これまで自分が苦労したことはすべて改善する。
業務を見える化し、
誰が何をしているか、全員が把握できるようにする

2年かけて業務改善を行い、
「一人が欠けたら回らない」環境を部署全体でなくしてきたそうです。

これは、誰か一人の努力ではなく、
部署全員が“このままではいけない”と感じ、
本気で改善に向き合ったからこそ生まれた変化
だと感じました。

「誰が休んでも大丈夫」という言葉の裏には、
支え合う覚悟と、地道な積み重ねがある。
その重みを、強く実感しました。

一見すると当たり前のことのように思えるかもしれません。
けれど、自分の仕事をすべて見える形にし、
マニュアル化し、他の人に共有するというのは、
実はとても勇気のいることだと感じました。

時間も手間もかかりますし、
「自分にしかできない」と思っていた部分を手放すことにもなります。

正直に言えば、
今の私はまだそこまで徹底できていません。

だからこそ、この取り組みは強く心に残りました。

今回の訪問をきっかけに、
まずは自分の業務から見直し、
少しずつでも共有できる形に整えていきたい。

それが、私にとっての最初の一歩だと感じました。


SNS運用にも表れる、一貫した「価値観」

HP・ECサイト・SNS。
どれを見ても、丁寧で統一感があります。

SNSは5名のチームで運用されており、
「会社の魅力を最大限に伝える」という目的が、メンバー全員の共通認識としてしっかり共有されているそうです。

企画営業チームの4名が集める写真も、
その目的が明確だからこそ視点がブレることがありません。
何を撮るのか、どんな場面を切り取るのか——
すべてが「会社の魅力を伝える」という軸につながっています。

さらに印象的だったのは、
「今、何を発信することが効果的か」という視点もチーム内で共有されていること。

目的とタイミングの両方がそろっているからこそ、
投稿を担当する方も現場の仕事をしながら無理なく発信できているのだと感じました。

目的と価値観が共有されているからこそ、
それぞれが違う役割を担っていても方向性が揃い、
結果としてブレないストーリーが生まれているのだと思います


今回の訪問から、自社に持ち帰りたいこと

① 強みを「見せる」勇気を持つ

当たり前だと思っている仕事こそ、実は一番の魅力

② 社員発案を形にする仕組み

トップダウンではなく、現場の声を信じる

③ 誰が休んでも回る業務設計

見える化と共有が、働きやすさを生む

④ 若手にチャンスを、周囲は全力で支える

年齢ではなく、意欲で役割を決める

⑤ 「楽しさ」は、伝えることで広がる

イベント・SNS・工場見学は、未来の仲間づくり

今回の訪問を通して強く感じたのは、
山崎製作所様の強さは、制度や仕組みだけでなく、
社員一人ひとりの意識の高さと、前向きな取り組みの積み重ねによって支えられているということでした。

自社の強みを自分ごととして捉え、自然に外へ伝えようとする姿勢。
社員の声を受け止め、形にしていく風土。
誰が休んでも回るように工夫し続ける現場の意識。
そして、挑戦する人を当たり前のように支え合う関係性。

どれもすぐに真似できるものではありませんが、
社員の意識が変われば、会社の姿も変わるということを、
今回の訪問で実感しました。

この学びを、
私たちの会社でも一つずつ大切に積み重ねていきたいと思います。

結びに

山崎製作所様は、
技術力だけでなく、人・想い・楽しさが詰まった会社でした。

ピンクのドアの先にあったのは、
「ものづくりの未来」と
「働くことの可能性」。

今回の訪問で得た学びを、
私たちの会社でも一歩ずつ形にしていきたいと思います。

山崎製作所の皆さま、
そして佐川さん、本当にありがとうございました。

他の会社見学の様子はこちらから!!

書いた人:望月 洋帆
総務部所属。仕事と育児に奮闘中の2児の母。
外部研修・会社訪問を行い日々勉強中。今年は「運動」と「本を読む」ことを目標にしています♪

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